『コロノスのオイディプス』は古代ギリシャの代表的な悲劇作家ソフォクレスの悲劇作品。有名な『オイディプス王』の続編である。さらに、『コロノスのオイディプス』の次には、有名な『アンティゴネ』が続くことになる。この記事では、あらすじを紹介する。
『コロノスのオイディプス』のあらすじ
前作の『オイディプス王』では、オイディプスは父を殺し母を娶るという神託を意図せず実現してしまい、自ら両目をつぶした。テーゼの都市から追放され、放浪者となった。
今作は、オイディプスが追放されてから数年後の物語である。オイディプスは盲目であり、乞食のような身なりをしている。娘のアンティゴネの助けを借りて生きている。
オイディプスたちはアテネ近郊ののコロノスの森にたどりつく。二人はそこで休憩しようとする。だが、そこの住民が彼らに退去するよう求める。その森は人間の立ちってはならない聖域だからである。オイディプスはどの神の聖域なのか尋ねる。復讐の女神の聖域だと返答される。
オイディプスはこの地を立ち去ることができないと答える。なぜなら、かつて、自分がこの地で死ぬとアポロンに神託されたからである。そこで、オイディプスは住民に、アテネの王テセウスを呼んでくるよう頼む。
他の住民たちもそこに集まってくる。彼らは乞食姿のオイディプスにたいし、一体何者なのかを尋ねる。オイディプスは身分をあかす。オイディプスの悲劇的な運命はすでにアテネでも広く知られていたので、住民たちはオイディプスだと知って恐れる。彼らはオイディプスに早くこの地を立ち去るよう求める。
だが、オイディプスはかつての悲劇的な行いが恐ろしいものだったが、自分の責任ではないと歌える。オイディプスがこの地にとどまれば、この地に祝福が訪れるかもしれないという。住民たちはとりあえずテセウスを待って、彼の判断に従うことにする。
そこに、オイディプスの娘イスメネがやってくる。イスメネはオイディプスに、現在のテーベの状況を知らせる。
オイディプスがテーベを追放された後、彼自身の二人の息子がその支配権をめぐって争いを始めた。ポリュネイケースはエテオクレスによって追放された。
だが、現在、ポリュネイケースはテーベを攻略するために、アルゴスで軍事的な準備をしている。これにたいし、エテオクレスやクレオンらのテーベの支配者たちはテーベを守ろうとしている。
そこで、彼らはオイデイlプスがテーベに戻って来るよう求めている。なぜなら、オイディプスの埋葬地がある土地に幸運がもたらされると神託されたからだ。
オイディプスはこのような動向を聞いて、激怒する。彼の息子たちは、かつて、テーベからのオイディプスの追放を妨げようとしなかった。それにもかかわらず、いまやオイディプスを利用しようとしている。オイディプスはそう考え、息子たちには協力しないと決める。
オイディプスは再び住民たちに、かつての悲劇的な行いについて弁明する。あの行いは意図的なものではなく、避けようがなかった、と。
アテネの王テセウスはオイディプスのもとにやってくる。オイディプスは上述の神託をテセウスに説明する。すなわち、オイディプスが死んでコロノスに埋葬することを許してくれるなら、彼自身の墓がアテネに祝福をもたらすだろう、と。
テセウスはオイディプスがコロノスに留まることを歓迎し、それを許可する。テセウスはその場を立ち去る。
次に、テーベから、クレオンが到来する。クレオンはオイディプスの息子エテオクレスとともに、テーベを守ろうとしている。
クレオンはオイディプスの追放後の不幸に同情を示す。オイディプスをテーベに連れ帰ろうと説得する。だが、オイディプスはこれを拒否する。おいでイプスは彼らがオイディプスをただ利用しようとしているだけなので、協力しない、と。
そこで、クレオンは強硬手段をとる。まず、ッ兵士を浸かって、アンティゴネとイスメーネを人質に取る。さらに、力ずくでオイディプス自身を捕らえようとする。
近隣住民はこれをみて、テセウスを呼びに行く。テセウスは現場に急行し、オイディプスを助ける。さらに、二人の娘をも助け出す。オイディプスはテセウスに感謝する。
次に、オイディプスの息子ポリュネイケスが彼のもとにやってくる。ポリュネイケスはテーベ攻略の準備をしている。ポリュネイケスはオイディプスにたいして、追放後に何の支援もしなかったことを詫びる。そのうえで、今回の戦争で協力してほしいと頼む。
オイディプスはこれも拒否する。オイディプスが追放後に何の支援もえられなかったことを恨んでいるためだ。オイディプスは彼に、テーベ攻略が失敗し、彼ら息子たちが殺し合うだろうと言い、追い返す。
突然、雷がなる。オイディプスに死期が来たことを悟る。オイディプスはテセウスに、こう告げる。オイディプスがいまや没した後、テセウスがその埋葬地を王がオイディプスの埋葬地を秘密にしておけば、アテネの都市はこの墓によって守られるだろう。テセウスは納得する。
オイディプスは死を迎えるために、王や娘たち、住民たちを森の外に連れ出す。オイディプスは死の準備をする。テセウスだけが彼の死ぬ場所を把握する。オイディプスは死ぬ。
イスメネとアンティゴネは森に戻り、父を悼む。テセウスは彼女たちをテーベに送り返すことにする。テーゼでの戦争を阻止したいと思いながら。
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ソフォクレス『コロノスのオイディプス』高津 春繁訳, 岩波書店, 1973